共有物件を売却するときの3つの注意点と譲渡所得の考え方

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夫婦名義で購入した不動産や、相続で引き継いだ不動産など、所有形態が共有となっている物件があります。

共有物件の売却は、売主が複数人となるため基本的なルールを知っておくと売却がスムーズに運びます。

共有物件の売却を考えている人が悩むこと

  • 「共有物件って、普通の物件の売却と何が違うの?」
  • 「共有物件の売却はどのようにして行なうの?」
  • 「共有物件を売却した時、税金はどのようにかかってくるの?」

そこでこの記事では、「共有物件の売却」にフォーカスしてお伝えします。

この記事を読むことであなたは、共有物件売却の売買契約書の特徴や譲渡所得の考え方について知ることができます。

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1.共有物件売却の基本

共有物件の売却には、持ち分の売却と全体の売却の2つのパターンがあります。

最初にそれぞれの基本的なルールについてご紹介します。

持分の売却は「共有者の同意なし」で売却が可能

共有持ち分とは、50%とか、30%とかの持ち分割合で所有している権利

まず、共有持ち分の売却は、持ち分所有者の単独で行うことができます。

例えば、Aさんが50%、Bさんが30%、Cさんが20%持っているような共有物件があるとします。

このとき、Aさんが50%をDさんに売却しようとする場合、Aさんは、BさんとCさんの同意を得ずに勝手に売ることが可能です。

BさんとCさんが知らない間に、突然Dさんが共有者の一人になるということもありえます。

新たな共有者はDさんが50%、Bさんが30%、Cさんが20%となります。

全体の売却は「共有者全員の同意」で売却が可能

共有物件の売却には、全体の売却というのもあります。

同様にAさんが50%、Bさんが30%、Cさんが20%持っているような共有物件を例に考えます。

この物件を、AさんとBさんとCさんの持ち分を全てDさんに売却する場合、「共有者全員の同意が必要」となります。

全体の売却では、Aさんだけが勝手に全体をDさんに売却することはできません。

全体の売却は、AさんとBさんとCさんの全員の同意が必要となります。

通常、共有物件の売却は、この全体の売却を指すことが多いです。

一人でも売却に反対する人がいれば、共有物件は売却することはできません。

全体を第三者へ売却する際は、「共有者全員の同意が必要」であることが大前提となります。

また、よくあるケースとして夫婦で50%ずつの家で離婚で売るケースがあります。

もちろんその際も夫婦二人の同意が必要となります。

離婚で家を売却するときのコツについては下記記事で詳しく解説しています。

以上、ここまで共有物件売却の基本について見てきました。

では、共有物件売却の注意点として「売買契約書」にいくつかポイントがあります。

そこで次に、共有物件売却の売買契約書について解説いたします。

2.共有物件売却の売買契約書は注意が必要

共有物件を売却するときに注意すべき売買契約書の3つのポイントがあります。

共有物件を売却する際の3つの注意ポイント

  1. 共有者全員の署名押印をする
  2. 持分を記載する
  3. 代理でも本人確認は必ず行う

それぞれ見ていきましょう。

注意点1.共有者全員が署名押印する

共有物件の売却は、共有者全員の同意が必要であり、共有者全員が売主となります。

売買契約書は、売主と買主が締結する契約書となりますので、共有物件の売買契約書には共有者全員が署名押印をすることになります。

署名押印だけなら簡単ですが、署名押印をする以上、共有者全員には売主としての義務が発生します。

売主が負うべき義務とは、主に以下の3つです。

売主が負うべき3つの義務

  1. 物件引渡義務
  2. 境界明示義務
  3. 瑕疵担保責任

それぞれ見ていきましょう。

義務1.物件引渡義務

売主には、買主からの代金支払いと同時に物件引渡義務を負います。

通常、不動産の売却では、売買契約から引渡まで1ヶ月程度の時間を空けます。

売主は、引渡時に売買契約で約束した内容を引渡す義務があります。

物件引渡義務で良くあるトラブルとしては、例えば売買契約時点でエアコンは残すとしていたのに、引渡時点で撤去されているというケースです。

エアコンは残すと約束していたのに関わらず、外して引渡してしまえば、物件引渡義務に反することになります。

例えば、共有者のうち一人が、エアコンは撤去するものと勘違いし、引渡までに撤去してしまうとこのようなトラブルが起こり得ます。

引渡す物件の内容は何なのか、共有者全員で認識を一致させておくことが重要です。

義務2.境界明示義務

戸建てや土地を売る場合、売主には境界明示義務があります。

境界が確定していれば心配不要ですが、境界が確定していない場合、引渡までに境界を確定しておくことが基本です。

境界確定では、土地所有者と隣地所有者が「筆界確認書」と呼ばれる境界確認書を作成します。

筆界確認書にも共有者全員の押印が必要となります。

境界確定には時間がかかるため、もし共有物件の境界が確定していない場合には、売却活動に入る前に境界を確定しておくことをオススメします。

筆界確認書も共有者全員の押印が必要となるため、スタンプラリーだけでも余計に時間がかかります。

共有物件でも、売主は境界明示義務を負うということを理解しておきましょう。

境界は土地売却する際によくおこるトラブルです。

境界明示については下記記事でさらに詳しく解説しています。

義務3.瑕疵(かし)担保責任

瑕疵とは雨漏り等の通常有すべき品質を欠くこと

売買契約後に瑕疵が発見されると、売主は損害賠償を負う、もしくは契約解除を求められる責任があります。

この売主の責任を瑕疵担保責任と呼びます。

共有物件は、共有者全員が売主のとなるため、全員が「瑕疵担保責任」を負うことになります。

売買契約書には、必ず瑕疵担保責任の規定があります。

通常、売却後、3ヶ月間だけ瑕疵担保責任を負うような規定にしていることが多いです。

全員が負う瑕疵担保責任が、契約書の内容で良いかどうか必ず確認するようにしましょう。

瑕疵担保責任については下記記事で詳しく解説しています。

注意点2.持分を記載する

共有物件の売買契約書には、共有者の氏名の他、持ち分も記載します。

持ち分は、売却する物件の登記簿謄本に記載されています。

相続で引き継いだ不動産は共有状態となっていますので、売却に当たってはまず登記を行うことになります。

相続自体に登記義務はありませんが、売却するためには登記が原則、必要です。

売却も、本来、登記は不要ですが、登記をしていない不動産は、誰が真の所有者なのか分かりにくいため、買主が購入したがりません。

スムーズに売るためには、登記を完了しておく必要があります。

共有物件で所有権移転登記が完了していないものに関しては、真の所有形態を登記簿謄本に反映した上で売却活動に入るようにしましょう。

共有者が立ち会えない場合は代理となる

共有物件の売却では、売買契約書に共有者全員の署名押印が必要となるため、原則、共有者全員が売買契約に立ち会う必要があります。

ただし、やむを得ない事情で共有者が立ち会えない場合には、別の共有者に代理人となってもらい、売買契約をすることになります。

共有者が代理人となる場合には、本人から代理人へ委任状をもらう必要があります。

代理とは、使者とは異なり本人に成り代わって法律行為をすることができます。

例えば、売買契約においては、値引きの判断なども本人に成り代わって行うことができてしまいます。

代理人は本人の意に反することも行えてしまうため、委任状を作成する場合には、代理人に判断要素を与えないように条件をしっかり書き込んだ委任状を作成することが重要です。

また、代理人は本人が最も信頼できる共有者に依頼することもポイントとなります。

委任状に関しては、下記記事に詳しく記載しています。

注意点3.代理でも本人確認は必ず行う

共有者の一人が代理の売買となる場合、本人確認は必ず行います。

代理による売却では、委任状が偽造され、本人に売る意思がなくても売却を装うことができるためです。

共有物件の売却では、全員の同意が必要です。

もし、代理を委任した本人が同意をしていなければ、売却は成立しません。

代理の売却は本人確認を要するため、不動産会社へはあらかじめ代理になることを伝えておく必要があります。

本人確認は、買主側の不動産会社または買主本人が行います。

本人確認が行える日にちと場を設けておくことも必要となります。

以上、ここまで共有物件の売買契約書について見てきました。

では、共有物件を売却した際の所得はどのように扱えば良いのでしょうか。

そこで次に、共有物件売却の譲渡所得について解説いたします。

3.共有物件売却の譲渡所得

共有物件の譲渡所得の考え方

不動産の売却では、譲渡所得を計算し、税金の発生の有無を確認する必要があります。

譲渡所得は、給与所得の他、譲渡所得、不動産所得、事業所得、山林所得、退職所得、利子所得、配当所得、一時所得、雑所得と言った個人の所得の一つです。

売却によって譲渡所得が発生した場合には、それぞれに所得税及び住民税、復興特別所得税が発生することになります。

譲渡所得とは、以下の計算式で表される所得です。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用

※譲渡価額とは売却額です。
※取得費とは土地は購入価額、建物は購入価額から減価償却費を控除した額となります。
※譲渡費用は仲介手数料等の売却に要した費用です。

譲渡所得は、それぞれの持ち分割合に応じた譲渡所得が各人の所得となります。

例えば、計算の結果、譲渡所得が1,000万円になったとします。

Aさんの持ち分割合が5分の4、Bさんの持ち分割合が5分の1だった場合、譲渡所得はAさんが800万円、Bさんが200万円ということになります。

不動産の分割については下記記事でさらに詳しく解説しています。

尚、居住用財産と呼ばれるマイホームを売却した場合には、共有者それぞれが3,000万円特別控除を利用することができます。

3,000万円特別控除とは、譲渡所得から以下のように3,000万円を引くことのできる特例です。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円

3,000万円特別控除に関しては下記記事に詳しく記載しています。

確定申告はそれぞれが行う

譲渡所得が発生した場合、確定申告は共有者それぞれが各人で行うことになります。

また、3,000万円特別控除のように、特例を使う場合でも確定申告は必要です。

確定申告は売却した翌年の2月16日~3月15日の間までに行います。

確定申告が必要なケースと不要なケースをまとめると以下のようになります。

確定申告が必要なケース

  • 譲渡所得が発生している場合
  • 譲渡所得の有無に関わらず、税金の特例を利用する場合

確定申告が不要なケース

  • 譲渡所得が発生せず、かつ、税金の特例も利用しない場合

譲渡所得は共有者それぞれに配分され、確定申告が必要なケースでは確定申告も共有者それぞれが行うことが必要です。

共有者がお互い忘れないように、それぞれしっかり確定申告まで行うようにしてください。

確定申告については下記記事で詳しく解説しています。

4.まとめ

以上、ここまで、共有物件売却の売買契約書の特徴や譲渡所得の考え方について見てきました。

共有物件の売却は、基本的には通常の売却と同じですが、共有者全員の同意を得ることが大前提となります。

共有者は全員が売主です。

売買契約書の記載内容についても、共有者全員で納得した上で売買契約書に押印するようにしましょう。

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