本当は怖い委任状による不動産売却!テンプレートと作成上の注意点

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代理で不動産を売却する場合、委任状を用います。

代理権を与えるということは、判断能力まで与えてしまうことになるため、実は大きなリスクを伴います。

不動産売却の委任状で気になっている人の疑問

  • 「委任状で不動産売却をするとき、どんな点に注意したら良いの?」
  • 「委任状で不動産売却すると、何がリスクなの?」
  • 「親名義の不動産を売却したい場合はどうしたら良いの?」

そこでこの記事では、「委任状による不動産売却」にフォーカスしてお伝えします。

この記事を読むことであなたは、委任状による不動産売却の際の、委任状作成上の注意点について知ることができます。

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1.代理人による不動産売却のリスク

代理人による不動産売却のリスクは、売主・買主の双方に存在します。

代理とは本人に代わって他人が法律行為をすることであり、その効果は本人におよびます。

代理には本人から委されたことを明らかにする顕名(けんめい)行為が必要であり、その顕名のための証明書が委任状になります。

売主のリスク

売主のリスクは、代理による売却では、代理人に判断の権限も与えてしまうという点です。

代理人とは、本人に成り代わって法律行為ができるため、本人の代わりに判断することができます。

代理の例として分かりやすいのが、未成年者の「親」です。

親は未成年の子供の法定代理人となります。

例えば、幼稚園児が契約当事者となった場合、代理人である親が条件交渉を行い、子供本人の確認を経ずに、全て判断して契約を締結します。

このように代理とは、本人に成り代わって全てをできる権限を持っています。

委任状による代理も、代理ですので、本人と代理人との関係は、基本的に幼稚園児と親の関係と同じです。

代理と似たような概念の言葉に「使者」があります。

使者は代理人ではないので、一つ一つ、本人に確認を取りながらでないと手続きを行うことができません。

例えば、不動産の金額を4,000万円から3,900万円に下げて欲しいと言われたとき、使者は本人の意向を確認する必要があります。

それに対して、代理人は本人に確認せず、その場で値引きを判断できます。

代理人のことを使者と勘違いしている人は多いので、気を付けるようにしてください。

買主のリスク

買主のリスクは、その代理人が、本当の代理人であるかどうか分からないという点です。

つまり、「私はAさんの代理人です」と言われても、委任状が偽造されている可能性もあり、本当の代理人か分からないというリスクです。

買主はお金を払う側なので、代理人による売買は、売主よりも買主の方が遥かに高いリスクを負っています。

つまり、買主には騙されるリスクがあり、代理人による取引は慎重に対応する必要があるのです。

買主は騙されないためにも、代理による売買は必ず本人の意思確認を行うことが必要です。

以上、ここまで代理によるリスクについて見てきました。

では、委任状で不動産売却ができるのはどのような場合なのでしょうか。

そこで次に、委任状で不動産売却ができるケースについて解説いたします。

2.委任状で不動産売却ができるケース

委任状は、代理人であることを顕名する書類

委任状で代理権を与えた代理人を、任意代理人と呼びます。

それに対して、未成年者の親権者や成年後見人など法律の規定に基づいて定められた代理人を法定代理人と呼びます。

任意代理人は、委任状だけで代理人に代理権を与えることができるため、極めて簡単な手続きで代理人となることができます。

委任状で不動産売却ができるケースは、本人が何らかの理由で売買契約に立ち会えない場合です。

例えば、本人が「突然入院した」「遠方に住んでいる」「どうしても外せない仕事ができてしまった」等々の理由で売買契約に立ち会えないことがあります。

そのような場合、基本的には親族が代理人となり対応します。

代理人による売買が可能なケースは、極めて限られています。

代理人が契約者となる場合、一番不安に思うのは買主です。

買主は騙されるリスクがあるので、代理人による売買と分かった段階で、契約を取りやめることは当然にあり得ます。

そのため、代理人による売買契約となる場合、あらかじめ買主側に伝えておくことが重要です。

本人確認ができる時間を確保しておく必要があります。

以上、ここまで委任状で不動産売却ができるケースについて見てきました。

では、委任状では不動産売却ができないのはどのような場合でしょうか。

そこで次に、委任状では不動産売却ができないケースについて解説いたします。

3.委任状では不動産売却ができないケース

委任状で不動産売却ができないケースは、本人が痴呆症や精神障害等により本人の判断能力に問題がある場合の不動産売却です。

本人の判断能力が低下した段階では、任意代理人では代理人となれず、成年後見人等の法定代理人が代理人を務める必要があります。

任意代理人は、委任状だけで代理人になれてしまいます。

本人が痴呆症であれば、子供が勝手に実印を押して委任状を作ってしまうことは容易です。

委任状は簡単に偽造されてしまうので、本人が痴呆症になってしまった段階では、代理権が本人の意思を反映したものかどうか分かりません。

そのため、本人の判断能力が低くなった段階では、委任状による売却は無効であり、法定代理人が代理人として契約を行うことになります。

以上、ここまで委任状では不動産売却ができないケースについて見てきました。

では、実際に委任状を作成する際には何に注意すれば良いのでしょうか。

そこで次に、委任状作成の注意点について解説いたします。

4.委任状テンプレートと作成時の5つの注意点

委任状テンプレート

まず最初に委任状のテンプレートをお見せします。

委任状は特に国から決まったフォーマットがあるわけではありません。

委任状

委任者○○○○(以下「甲」という。)は、受任者○○○○(以下「乙」という。)に対し、甲所有の下記不動産を下記条件で売却することを委任し、その代理権を付与する。

1.売買物件の表示 ○○○○○○○○○○

2.売却条件
⑴売買価額 金○○○○万円
⑵手付金の額 金○○○○万円
⑶引渡の予定日 平成○○年○○月○○日
⑷違約金の額 売買価額の10%相当額以上で、乙が買主と協議して定める。
⑸公租公課の分担起算日 引渡日
⑹金銭の取扱い
・乙は、買主から受領する手付金および売買代金その他の金銭を、受領の都度、すみやかに甲の指定する銀行預金口座(○○銀行○○支店・普通○○○○○○)に振り込み、引き渡す。ただし、売買契約書に貼付する収入印紙代、固定資産税等の清算金その他の金銭で、甲が負担する必要があるものについては、乙がこれを売買代金等から控除し、残額を甲に振り込む。
・前項の領収証の発行および受領は、すべて乙が甲の代理人として行う。
⑺所有権移転登記申請手続等
・甲は、売買代金全額の受領と同時に、買主への所有権移転登記申請手続を行うものとし、そのための一件書類をあらかじめ○○○○司法書士に預託しておき、乙が、甲の代理人としてそのための準備と当日の確認を行う。
・乙は、前項の所有権移転登記申請時に、買主に対し物件の引渡しを行うものとし、そのための図面その他の関係図書および鍵の引渡しをあらかじめ甲から受けておく。
⑻ その他の条件
本件売買契約に用いる契約書の書式は、別添契約書を使用するが、それ以外の事項で、上記売却条件に定めのない事項および上記売却条件の履行に変更が生じるときは、その都度甲・乙協議して定める。

3.有効期間
この委任状の有効期間は、3か月とする。ただし、甲・乙の合意により、更に3か月間更新することができる。

以上

平成○○年○月○日
甲(委任者) 住所 ○○○○○○○○○○○○
氏名 ○○○○ 
乙(受任者)○○○○殿

上記委任事項確かに受任いたしました。

平成○○年○月○日
乙(受任者) 住所 ○○○○○○○○○○○○
氏名 ○○○○
甲(委任者)○○○○殿

委任状作成において注意点が5つあります。

委任状作成の5つの注意点

  • 注意点1.委任内容を明確にすること
  • 注意点2.実印で押印すること
  • 注意点3.捨印は押さないこと
  • 注意点4.「一切の件」という表現は使わないこと
  • 注意点5.住所も記載すること

それぞれ見ていきましょう。

注意点1.委任内容を明確にすること

1つ目は、委任内容を明確にすることです。

「売買価額」や「手付金の額」、「引渡の予定日」等の契約書に記載されている売却条件を全て明記し、代理人に判断の余地を与えないことが重要です。

「売買契約書記載の通り」のような記載をしてしまうと、売買契約書が書き換えられたら、全て書き換えられてしまいます。

面倒でも、売買契約書に記載してある「売買価額」や「引渡の予定日」等は全て正確に転記するようにして下さい。

要は、代理人に金額変更や引渡日の変更等、判断や変更の余地を与えないようにすることがポイントです。

代理人はその場で勝手に判断できるため、何を委任しているか、内容を明確にし、それ以外のことはできないようにしておくことが重要になります。

以上、ここまで委任内容を明確にすることについて見てきました。

委任状は実印で押印します。

そこで次に、実印で押印することについて解説いたします。

注意点2.実印で押印すること

2つ目のポイントは、実印で押印することです。

印鑑証明書と住民票も添付します。

もし、本人が実印を作っていない場合、作るようにして下さい。

実は委任状は、認印でも有効ですし、印鑑証明書の添付も必要ありません。

しかしながら、三文判の委任状だと、やはり買主に対する印象が悪いです。

委任状はあまりにも簡単に作られるため、三文判の委任状だと、買主に「本当にこの人は代理人なのだろうか」という不安を与えてしまいます。

そのため、実務上は、実印で押印し、印鑑証明書と住民票も添付することが通常です。

以上、ここまで実印で押印することについて見てきました。

印鑑といえば、書類作成時にしばしば目にする「捨印」には注意が必要です。

そこで次に、捨印は押さないことについて解説いたします。

注意点3.捨印は押さないこと

3つ目としては、捨印は押さないことです。

捨印とは委任事項の訂正に備えてあらかじめ上部空白部分や右あるいは左空白部分に押印をすること

この捨印は、あらかじめ訂正に備えるために押すものになります。

捨印を押してしまうと、委任状の委任事項に新たな内容を付け加えることができてしまいます。

代理人がその場で大きな変更も可能となってしまうことから、捨印は絶対に押してはいけません。

以上、ここまで捨印は押さないことについて見てきました。

書類の表現にも注意点があります。

そこで次に、「一切の件」という表現は使わないことについて解説いたします。

注意点4.「一切の件」という表現は使わないこと

4つ目としては、「一切の件」という表現は使わないことです。

委任事項の中で、最後に「その他○○に関する一切の件」と記載している委任状を見かけますが、このような代理人の権限をあやふやにする表現は使ってはいけません。

委任事項を細かく規定したとしても、「一切の件」という文章を加えただけで、代理人がほとんどのことを勝手にできるようになってしまいます。

委任状には、「上記条件に定めのない事項および上記条件の履行に変更が生じるときは、その都度甲(本人)・乙(代理人)協議して定める」と記載しておき、変更が生じた場合に代理人が勝手に判断できないようにしておくことがポイントです。

とにかく、委任事項は限定し、代理権限があいまいになるような表現は避けるようにしましょう。

以上、ここまで「一切の件」という表現は使わないことについて見てきました。

委任者と受任者は、住所も記載します。

そこで次に、住所も記載することについて解説いたします。

注意点5.住所も記載すること

5つ目としては、当事者は必ず住所も記載するという点です。

委任状には、誰が誰に委任しているか、委任者(本人)と受任者(代理人)を明記します。

そこで、委任者と受任者は、名前だけではなく、必ず住所も記載することがポイントです。

名前だけだと、同姓同名の人もいるため、本当は誰が委任者で、誰が受任者なのかがあいまいになってしまいます。

そこで、名前に加えて住所も記載することで委任者や受任者を特定できるようになります。

委任者と受任者を確実に特定するためにも、必ず住所を併記するようにしましょう。

以上、ここまで委任状作成の5つの注意点を見てきました。

代理の売買では本人か確認が必ず必要です。

そこで次に、必ず本人確認を受けることについて解説いたします。

5.必ず本人確認を受けること

繰り返しますが、代理の売買で大きなリスクを背負うのは買主の方です。

買主はお金を支払う側なので、騙されて大きな金額を失う可能性があります。

委任状による売買は、影響が大きい割には手続きが簡単過ぎるため、本当に本人に売却の意思があるのか、また本当に本人から代理人へ委任したのかを確かめないと不安です。

そこで、買主側は、買主本人または不動産会社によって必ず本人の意思確認を行うのが通常です。

そのため、売主としては、必ず本人確認を受けるようにして下さい、

本人確認の時間を考慮すると、委任状を使って不動産を売却する場合には、買主側に対して代理人による売却であることを早めに伝える必要があります。

代理人による売却の場合、「委任状と本人確認」はセットであることを理解しておきましょう。

6.まとめ

以上、ここまで、委任状による不動産売却の際の、委任状作成上の注意点について見てきました。

委任状を使った売却は、売主にも買主にもリスクを伴います。

細心の注意を払い、トラブルが生じないように委任事項を限定して行うようにして下さい。

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