農地の売買で気を付けることは?価格相場や許可・手数料・税金を解説

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売却が難しい不動産の一つに農地があります。

農地には農地法が適用されるため、簡単に売却することができません。

農地法は農地を守るために作られていますので、農地が減る可能性のある売却は厳し制限を受けることになります。

農地の売買を考えている人が悩む疑問

  • 「そもそも農地って、いくらくらいで売買されているの?」
  • 「農地はどこに、どうやって売ればいいの?」
  • 「農地を売った時は、税金がどのようにかかってくるの?」

そこでこの記事では、「農地の売買」にフォーカスしてお伝えします。

この記事を読むことであなたは、農地売買の相場や許可・手数料・税金について知ることができます。

ぜひ最後までご覧ください。

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1.農地売買の価格相場

農地売買の価格相場は、一般社団法人全国農業会議所により平成29年の都道府県別の平均価格を知ることができます。

10a(アール)あたりの耕作目的田畑売買の平均価格(千円)は以下の通りです。

1aは100㎡ですので、10aは1,000㎡当たりの価格になります。

都道府県田の平均価格(千円/10a)畑の平均価格(千円/10a)
北海道250119
青森県380248
岩手県633456
宮城県567345
秋田県517234
山形県593316
福島県746471
茨城県653579
栃木県756541
群馬県1,7041,588
埼玉県2,6303,065
千葉県1,0631,083
東京都1404
神奈川県74410,916
山梨県2,6702,718
岐阜県2,7712,638
静岡県2,3521,997
愛知県671463
三重県1,2941,118
新潟県777457
富山県1,602710
石川県1,337788
福井県2,0201,355
長野県1,6501,364
滋賀県619683
京都府1,258893
大阪府
兵庫県1,5031,030
奈良県494366
和歌山県3,1582,117
鳥取県682424
島根県558359
岡山県1,105638
広島県790429
山口県594340
徳島県1,9261,478
香川県2,043985
愛媛県1,557769
高知県1,516768
福岡県1,195915
佐賀県995550
長崎県930669
熊本県990620
大分県692434
宮崎県507406
鹿児島県715580
沖縄8651290

平成29年における純農業地域の農用地区域の農地価格(全国平均)は、田の価格が120万7千円/10a、畑の価格が89万1千円/10aとなっています。

㎡辺りに換算すると、全国の平均価格は田が1,207円/㎡、畑が891円となります。

ちなみに同じく平成29年の全国の宅地における地価公示の平均価格は201,302円/㎡でした。

宅地の201,302円/㎡と比べると、田は167分の1、畑は226分の1の価格となります。

農地や畑の価格は非常に安く、宅地の100分の1よりも安く、タダみたいな価格水準となっています。

以上、ここまで農地売買の価格相場について見てきました。

農地の売却では農地法の許可が必要です。

農地法の売却許可は、農地法3条と5条に規定されており、それぞれ3条許可、5条許可と呼ばれています。

そこで次に、農地法3条許可の農地売買について解説いたします。

2.農地法3条許可の農地売買

農地法3条許可とは、農地を農地として売る場合の許可

農地法のスタンスとして、耕す人が変わることも嫌がるという考えがあります。

農地を耕す人が変わると、収穫高が減る可能性があります。

収穫高が減れば、それは農地が減ることと同じです。

農地法は農地を守るための法律ですので、たとえ農地を農地として売却したとしても、農業を全くやる気のない人に対しては、売却を許可しないというルールを設けています。

農地を農地として売る場合に、必要な許可が「3条許可」になります。

3条許可では、例えば、全く農業をやる予定のないサラリーマンには農地を農地として売却することは許可されません。

3条許可は、「農地を農地として」、「採草放牧地を採草放牧地として」、「採草放牧地を農地として」売却するパターンで適用されます。

3条許可の許可権者は農協委員会になります。

農業委員会は、農業生産力の向上と農業経営の合理化を図り、農民の地位向上に寄与することを目的として、市町村に設置されている行政委員会のことです。

仮に、3条許可を受けずに売却した場合、無効となります。

農地を農地として売る場合には、3条許可が必要であることを理解しておきましょう。

以上、ここまで農地法3条許可の農地売買について見てきました。

では、農地以外にする場合の売買はどのように行なうのでしょうか。

そこで次に、農地法5条許可の転用売買について解説いたします。

3.農地法5条許可の転用売買

農地法5条許可とは、農地を農地以外のものとして売却する場合の許可

農地以外に転用するため、転用売買と呼ばれます。

農地を転用する場合は、モロに農地が減ることを意味しますので、当然に許可が必要となります。

5条許可は、「農地を農地以外として」「採草放牧地を採草放牧地以外として」にする場合に適用されます。

「採草放牧地を農地として」売却する場合は、3条許可となります。

5条許可の許可権者は原則、都道府県になります。

例外として指定都市の場合はその指定市町村長です。

許可権者が農業員会よりも大きな組織ですので、3条許可よりも厳しい許可であることを意味しています。

仮に、5条許可を受けずに売却した場合は、無効となります。

しかも原状回復命令が出され、転用した物件を農地に回復する必要も生じます。

農地を農地以外として売る場合には、5条許可が必要であることを理解しておきましょう。

以上、ここまで農地法5条許可の転用売買について見てきました。

では、農地が市街化区域にある場合はどうすれば良いのでしょうか。

そこで次に、市街化区域の農地売買について解説いたします。

4.市街化区域の農地売買

市街化区域の農地売買には、特殊なルールが存在します。

市街化区域とは「すでに市街地を形成している区域またはおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」

市街化とは街づくりのことを意味しています。

つまり市街化区域とは、どんどん街づくりをしてくださいという地域です。

まず、市街化区域において5条許可ですが、転用売買については許可不要となります。

転用売買する場合は、農業委員会に届出するだけで大丈夫です。

市街化区域は、そもそも「どんどん市街化してください」という地域であるため、転用売買はウェルカムです。

そのため、市街化区域において5条許可は不要となります。

一方で、農地を農地として売る3条許可については、市街化区域でも許可が必要です。

3条許可の対象としている農地は「全ての農地」としているため、市街化区域であっても農地として売る場合には許可が必要となります。

市街化調整区域については下記記事詳しく解説しています。

以上、ここまで市街化区域の農地売買について見てきました。

では、農地売買にはどのくらいの仲介手数料が必要なのでしょうか。

そこで次に、農地売買の仲介手数料について解説いたします。

5.農地売買の仲介手数料

農地の売買は宅地の売買ではないため、宅地建物取引業法の規制の対象外です。

そのため、宅地の売買における仲介手数料の適用は受けず、原則はいくらでも良いことになります。

ただし、実務上は宅地建物取引業法の規制が準用されています。

宅地建物取引業法において、仲介手数料は取引額に応じて、その上限額が以下のように決まります。

取引額 (売買金額)速算式(上限額)
200万円以下5%
200万円超から400万円以下4%+2万円
400万円超3%+6万円

通常の不動産の場合は、ほとんどの物件は取引額が400万円超となります。

そのため、仲介手数料は取引額の3%+6万円となることが一般的です。

しかしながら、農地の売買価格は宅地の100分の1以下の価格であるため、200万円以下となることも多いです。

200万円以下となると、取引額の5%が適用されます。

たまに、農地の売買で仲介手数料を5%請求されて、「違法なのではないか?」という人がいます。

そもそも、農地は宅地ではないため、仲介手数料はどこにも定められておらず、いくらでも違法ではありません。

宅地建物取引業法の準用として見たとしても、200万円以下は取引額の5%となり、要求額としては適切な範囲内と言えます。

仲介手数料については下記記事に詳しく記載しています。

以上、ここまで農地売買の仲介手数料について見てきました。

では、農地売買をした際にはどのような税金と控除があるのでしょうか。

そこで次に、農地売買の税金と控除について解説いたします。

6.農地売買の税金と控除

譲渡所得の計算

農地を売却しても、譲渡所得が発生した場合には、所得税及び住民税、復興特別所得税の税金が発生します。

譲渡所得とは、以下の式で表されるものです。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用

※譲渡価額とは売却額です。
※取得費とは土地の購入価額となります。
※譲渡費用は仲介手数料等の売却に要した費用です。

農地は先祖代々から受け継いでいるものが多いため、取得費が分からないケースが多いと思われます。

取得費が不明の場合には概算取得費を計算で用います。

概算取得費とは、譲渡価額の5%です。

また、税金は譲渡所得に対して税率を乗じて計算します。

住民税および所得税 = 譲渡所得 × 税率

所有期間は5年以下であれば短期譲渡所得、5年超であれば長期譲渡所得と呼ばれています。

それぞれの税率は以下の通りです。

種類所得税住民税合計税率
短期譲渡所得30%9%39%
長期譲渡所得15%5%20%

復興特別所得税に関しては、所有期間に関わらず、2.1%が所得税に乗じられて計算されます。

相続で引き継いだ農地は、少雨期間も引き継ぎます。

先祖代々から5年超保有していれば、長期譲渡所得になります。

農地を売ったときの控除

農地を売ったとき、売却の状況によっては控除の特例を受けることができます。

控除を受けると、譲渡所得から控除額を引くことができます。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 控除額

控除額を引いた結果、譲渡所得がマイナスとなれば、譲渡所得はゼロとして扱われるため、税金は発生しません。

農地を売却したときの控除には、以下のものがあります。

譲渡の目的控除額適用されるケース
農地利用目的800万円・ 農用地区域内の農地を農用地利用集積計画又は農業委員会のあっせん等により譲渡した場合 ・ 農用地区域内の農地を農地中間管理機構又は農地利用集積円滑化団体に譲渡した場合
1,500万円・ 農用地区域内の農地等を農業経営基盤強化促進法の買入協議により農地中間管理機構に譲渡した場合
転用目的5,000万円・ 農地が土地収用法等により買い取られる場合

控除額の節税効果は大きいので、控除はぜひ活用することをオススメします。

7.まとめ

以上、ここまで、農地売買の相場や許可・手数料・税金について見てきました。

農地の売買は、農地法の許可が必要です。

どの許可が必要となるのか、理解した上で売却活動に取り掛かるようにしましょう。

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合同会社ラビッツ 石川貴裕

IT会社で勤務しながら、親族の会社で不動産仲介を経験。専門用語が多く初心者に優しくないサイトが多いと感じて不動産メディアを多数立ち上げる。

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