不動産売却するなら知っておきたい6つの税金特例

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マンションや戸建てなど住宅を売却する場合には、税金の様々な特例があります。

特例の数も多く、要件も複雑なので、良く分からない人も多いと思います。

お得に不動産売却をしたいと考えている人の中には、

不動産売却を進めるための疑問

  • 「不動産売却の税金特例って、どんなものがあるの?」
  • 「不動産売却で、どんな場面でどんな特例が使えるの?」
  • 「不動産売却の特例が利用できる条件は何?」

等々のことを思っている人も多いと思います。

そこでこの記事では、「不動産売却の特例」にフォーカスしてお伝えします。

この記事を読むことであなたは、不動産売却をするなら知っておきたい6つの税金特例について知ることができます。

ぜひ最後までご覧ください。

不動産売却の特例まとめ

最初に不動産売却の特例まとめを下表に示します。

譲渡益譲渡の種類特例
譲渡所得が生じる場合
(所得税が発生)
売却①3,000万円の特別控除
売却②所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
買換え③特定の居住用財産の買換え特例
売却④相続空き家の3,000万円特別控除
譲渡損失が生じる場合
(所得税が戻ってくる)
買換え⑤居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
売却⑥居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

不動産売却時の特例は、「譲渡所得が発生する場合」と「譲渡損失が発生する場合」の大きく2つに分かれます。

さらに単純売却か買換えかで使える特例が異なります。

買い替えや住み替えのことを、税法上、買換えと表記しますので、以下より「買換え」と記載します。

不動産売却の特例

不動産売却の特例

譲渡所得が発生する場合の特例は、節税ができる特例にあります。

譲渡損失が発生する場合の特例は、税金の還付を受けることができる特例。

譲渡所得とは、以下の計算式で表される所得です。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
※譲渡価額とは売却額
※取得費とは、土地は購入価額、建物は購入価額から減価償却費を控除した額
※・譲渡費用は仲介手数料等の売却に要した費用

上記の計算結果により、譲渡所得がプラスであれば「譲渡所得が発生」、譲渡所得がマイナスであれば「譲渡損失が発生」ということになります。

以上、ここまで不動産売却の特例まとめについて見てきました。

家の購入時にも使われる3,000万円特別控除は聞いたことがある人も多いと思います。

そこで次に、3,000万円特別控除について解説いたします。

よく使われる3,000万円特別控除

3,000万円特別控除は、譲渡所得から3,000万円を控除できる特例。3,000万円特別控除を適用すると、譲渡所得は以下のように計算されます。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円

3,000万円特別控除を適用するには、居住用財産であることが条件となります。

居住用財産は、以下のいずれかの要件を満たすことが必要です。

【居住用財産】

  1. 現に居住している家屋やその家屋と共に譲渡する敷地の譲渡の場合
  2. 転居してから3年後の12月31日までに、居住していた家屋やその家屋と共に譲渡するする敷地の譲渡の場合(この間に貸付や事業用に供していても適用となる)
  3. 災害などにより居住していた家屋が滅失した時は、災害のあった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、その敷地だけ譲渡する場合
  4. 転居後に家屋を取り壊した場合には、転居してから3年後の12月31日までか、取り壊し後1年以内か、いずれか早い日までに譲渡する場合(取り壊し後にその敷地を貸し付けたり、事業の用に供したりすると適用外となる)
居住用財産とは、つまりマイホームのこと

3,000万円特別控除については下記記事で詳しく解説しています。

以上、ここまで3,000万円特別控除について見てきました。

所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合、税率がさらに下がります。

そこで次に、所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例について解説いたします。

所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例

所有期間が10年超の居住用財産では、3,000万円特別控除に加えて「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」も利用することができます。

所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例は、通常よりも税率が低くなる特例です。

まず、税金に関しては、譲渡所得に税率を乗じて求めます。

税金 = 譲渡所得 × 税率

通常の税率は不動産の所有期間によって決まります。

1月1日時点において所有期間が5年超の場合は長期譲渡所得、1月1日時点において所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得と分類されます。

それぞれの税率は以下の通りです。

 所得税住民税合計税率
短期譲渡所得30%9%39%
長期譲渡所得15%5%20%

ここで、「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」を適用すると、税率は以下のようになります。

課税譲渡所得金額所得税住民税合計税率
3,000万円特別控除後の譲渡所得のうち6,000万円以下の部分10%4%14%
3,000万円特別控除後の譲渡所得のうち6,000万円超の部分15%5%20%

税率がかかる譲渡所得は、「3,000万円特別控除後の譲渡所得」であることがポイントです。

3,000万円特別控を適用しても、なお譲渡所得がプラスの場合には、「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」も利用するとお得です。

以上、ここまで所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例について見てきました。

買い替えの場合、特定の居住用財産の買換え特例が適用される場合があります。

そこで次に、特定の居住用財産の買換え特例について解説いたします。

特定の居住用財産の買換え特例

特定の居住用財産の買換え特例は、単純な売却ではなく、買換えを前提としています。

買換えで売却した不動産の価格を譲渡価額、新たに購入した不動産の価格を取得価額とします。

特定の居住用財産の買換え特例を利用すると、課税の有無は以下のようになります。

譲渡価額 > 取得価額課税される
譲渡価額 ≦ 取得価額課税されない

つまりこの特例は、単純に売却した家よりも高い金額の家を買えば、課税されないという特例です。

仮に、「譲渡価額>取得価額」の関係で課税される場合、譲渡所得は以下のように計算されます。

イ.収入金額 = 譲渡資産の売却代金 - 買換資産の購入代金等
ロ.取得費及び譲渡費用 = (譲渡資産の取得費 + 譲渡費用) × (イの収入金額÷譲渡資産の売却代金)
ハ.譲渡所得 = 収入金額 - 取得費及び譲渡費用 = イ - ロ

課税が発生する場合には、「3,000万円特別控除」か、または「特定の居住用財産の買換え特例」の有利な方の特例を選択することになります。

特定の居住用財産の買換え特例を利用するには、譲渡資産と買換え資産に以下の要件が必要です。

(譲渡資産)

次に掲げる居住用不動産で、その譲渡した年の1月1日における所有期間が10年を超えているもので、譲渡にかかる対価が1億円以下のもの

  1. 現に自分が住んでいる住宅で、居住期間が10年以上であるもの
  2. 以前に自分が住んでいた①の住宅で、自分が住まなくなった日から3年後の12月31日までに譲渡されるもの
  3. ①や②の住宅及びその敷地
  4. 災害によって①の住宅が滅失した場合において、その住宅を引き続き所有していたとしたならば、その年の1月1日における所有期間が10年を超えるその住宅の敷地

(買換え資産)

  1. 譲渡資産を譲渡した年の前年の1月1日から譲渡した年の12月31日までの間に居住用の住宅やその敷地を取得すること
  2. 譲渡資産を譲渡した年の翌年12月31日までの間に、取得した住宅を居住の用に供すること、または供する見込みであること
  3. 取得する住宅は、床面積が50㎡以上であること
  4. 買換え資産が中古の耐火建築物である場合には、その中古耐火建築物が新築後25年以内であるか、または新耐震基準に適合することが証明されたものであるか、もしくは既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入していること
  5. 取得する敷地は、その面積が500㎡以下であること

以上、ここまで特定の居住用財産の買換え特例について見てきました。

空き家を相続した場合も、3,000万円特別控除が適用される場合があります。

そこで次に、相続空き家の3,000万円特別控除について解説いたします。

相続空き家の3,000万円特別控除

居住用財産以外に、相続した空き家では、相続空き家の3,000万円特別控除が使えるケースがあります。

相続空き家の3,000万円特別控除を使うと、譲渡所得は以下のように計算されます。

譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円

売却する家屋には、以下の要件が必要です。

売却する家屋の要件5つ

  1. 相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋であること。
  2. 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること。
  3. マンション以外の家屋であること。
  4. 相続開始直前においてその被相続人以外に居住したいた者がいなかったこと。
  5. 相続のときから譲渡のときまで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていなかったこと。

さらに、取壊して更地を売却する場合は、上記要件に加え、以下の要件も加わります。

更地を売却する場合の追加要件

  1. 相続のときから取壊しのときまで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていなかったこと。
  2. 土地が相続のときから譲渡のときまで事業の用、貸付けの用または居住の用に供されていなかったこと。

また、以下の譲渡の要件も必要です。

譲渡の要件

  1. 譲渡価額が1億円以下であること。
  2. 家屋を譲渡する場合、その譲渡時において、その家屋が現行の耐震基準に適合するものであること。

以上、ここまで相続空き家の3,000万円特別控除の特例について見てきました。

次章より譲渡損失が発生した場合の特例です。

最初に、居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例について解説いたします。

居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例とは、買換えを条件として、売却した不動産で譲渡損失が発生した場合、税金の還付を受けることができる特例

譲渡損失は、確定申告における損益通算という手続きで、他の給与所得等に合算することができます。

例えば、給与所得が700万円の人が、売却により譲渡損失▲1,000万円を発生させたとします。

すると、損益通算によりその人の所得は▲300万円(=700万円―1,000万円)となります。

給与所得者は、会社が所得700万円を前提に所得税等を天引きしていますが、最終的にその人の所得は▲300万円と確定したため、700万円を前提として支払っていた所得税等が払い過ぎていたということになり、還付を受けるという仕組み。

さらに、この▲300万円は翌年も繰り越すことができます。これを繰越控除と呼びます。

「居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を使うには、売却物件と購入物件で以下の要件を満たす必要があります。

売却物件の要件

2019年12月31日までの間に譲渡される自己の居住の用に供する家屋またはその敷地で、その譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもののうち、次の1から4のいずれかに該当するものであること

  • (1)現に自分が住んでいる住宅
  • (2)以前に自分が住んでいた住宅で、自分が住まなくなった日から3年後の12月31日までの間に譲渡されるもの
  • (3)(1)や(2)の住宅及びその敷地
  • (4)災害によって滅失した1の住宅の敷地で、その住宅が滅失しなかったならば、その年の1月1日における所有期間が5年を超えている住宅の敷地

ただし、その災害があった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡されるものに限る。

購入物件の要件

  • (1)譲渡資産の譲渡した年の前年の1月1日から翌年12月31日までの間に取得される自己の居住用に供する家屋またはその敷地
  • (2)その家屋の居住部分の床面積が50㎡以上であること
  • (3)その取得の日から取得した年の翌年の12月31日までの間に自己の居住の用に供すること、または供する見込みであること
  • (4)繰越控除を受けようとする年の12月31日において、買換え資産に係る住宅借入金等(返済期間10年以上のローン契約等によるもの)の金額を有していること

注意点としては、購入物件で10年以上のローンを組む必要があるという点です。

特例を使えると思っていたのに、10年以上のローンを組まなかったがために、特例が使えなかったというケースがあります。

要件をしっかり確認した上で、確定申告を行うようにしてください。

以上、ここまで居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例について見てきました。

類似の特例として、居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例があります。

そこで次に、居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例について解説いたします。

居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例は、買換えを要件としていません。

ただし、オーバーローンを要件としています。

オーバーローンとは、住宅ローン残債が売却額を上回る状態のこと

前章の「居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」では、譲渡損失を丸ごと他の所得に損益通算できました。

一方で、本章の「居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」はオーバーローンの部分が他の所得に損益通算できる対象となります。

損益通算できる対象が異なる以外は、計算方法などは前章の「居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と同じです。

買換えは要件ではありませんが、売却物件には以下の要件が必要となります。

(売却物件の要件)

平成31年12月31日までの間に譲渡される自己の居住の用に供する家屋またはその敷地で、その譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもののうち、次の1から4のいずれかに該当するものであること

  1. 現に自分が住んでいる住宅
  2. 以前に自分が住んでいた住宅で、自分が住まなくなった日から3年後の12月31日までの間に譲渡されるもの
  3. 「1.」や「2.」の住宅及びその敷地
  4. 災害によって滅失した「1.」の住宅の敷地で、その住宅が滅失しなかったならば、その年の1月1日における所有期間が5年を超えている住宅の敷地
    ただし、その災害があった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡されるものに限る。
  5. その個人がその譲渡にかかる契約を締結した日の前日においてその譲渡資産に係る一定の住宅借入金等の金額を有すること
  6. 繰越控除する各年分の合計所得金額が3,000万円以下であること
  7. 譲渡先が、その個人の配偶者その他特別の関係がある者ではないこと

まとめ

以上、ここまで、不動産売却をするなら知っておきたい6つの税金特例について見てきました。

特例を利用するには十分に要件を確認することが重要です。

要件は複雑なので、十分に確認してから利用するようにしましょう。

なお、不動産売却時の譲渡所得計算時に必要な「取得費」の計算が一番ややこしいです。詳細は下記記事でさらに詳しく解説しています。

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合同会社ラビッツ 石川貴裕

IT会社で勤務しながら、親族の会社で不動産仲介を経験。専門用語が多く初心者に優しくないサイトが多いと感じて不動産メディアを多数立ち上げる。

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