相続した不動産をスムーズに分割するためのコツと売却する前に決めておく2つのルール

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相続では全ての財産を共有で引き継ぐため、相続人間で遺産の分割の問題が生じます。

分割で特に問題となるのは、平等に分けることができない不動産です。

不動産を分けやすくするには、売却して現金にすることです。

現金なら1円単位で分けることもできるため、好きなように分割することが可能になります。

相続で引き継いだ不動産を分割したい人が悩める疑問

  • 「不動産を引き継いだけれど、相続人が3人いる。どうやって分割すればいいの?」
  • 「現金化して分けるといいって聞いたけど、何に注意すればいいの?」
  • 「不動産売却を相続人全員でスムーズに進めるには、どうすればいいの?」

そこでこの記事では、「不動産売却における分割」にフォーカスしてお伝えします。

この記事を読むことであなたは、不動産売却によって遺産分割をスムーズ進めるコツについて知ることができます。

ぜひ最後までご覧ください。

1.遺産分割の4つの方法

最初に遺産の分割方法についてご紹介します。

相続時の遺産分割の方法は、以下の4つがあります。

遺産分割方法は4つある

  1. 現物分割
  2. 共有分割
  3. 代償分割
  4. 換価分割

それぞれ見ていきましょう。

現物分割の特徴とメリット・デメリット

1つ目の現物分割とは、遺産をそのままの形で相続人に分ける方法です。

例えば、家は母、現金は兄、有価証券は弟のように、財産をそのままの形で分け与える分割のことをいいます。

現物分割は、単純で分けやすいというメリットがあります。

分割後の所有も単独所有となるため、資産を使いやすくまたは処分もしやすくすることが可能です。

一方で、不動産が90%、現金が10%のように財産の構成が偏っている場合、現物分割で分割すると相続人間に不平等を生むデメリットがあります。

誰に何を分かるのかが難しく、相続人間でトラブルになりやすい分け方です。

また、遺留分侵害も犯しやすく、遺言による分割もしにくいです。

遺留分とは、相続人に法律上確保された最低限度の財産のことです。

共有分割の特徴とメリット・デメリット

2つ目の共有分割とは、遺産を相続人同士で持分を決めて共有する方法です。

例えば、家を母が50%、姉が25%、妹が25%と共有で持つ分割となります。

メリットとしては、法定相続割合で分割することもでき、平等性を保つことが可能です。

法定相続割合であれば、相続後、基本的には何もする必要がありません。

一方で、デメリットとしては共有状態が続くと、将来の相続で再び所有者が分散することになります。

共有物件では処分に全員の同意が必要となるなど、単独所有物件に比べて使いにくく、せっかくの資産が利用しにくくなってしまいます。

代償分割の特徴とメリット・デメリット

3つ目の代償分割とは、一部の相続人が財産を多く相続したことで不公平が生じた場合、その相続人が他の相続人にお金を支払うことで調整する方法です。

例えば相続人が子供2人で、資産を兄が80%、弟が20%引き継いだとします。

本来なら弟は50%貰えたはずです。

そこで、兄から弟に30%分の現金を渡すことで、調整を図るのが代償分割になります。

メリットとしては、一方が代償を払うことにより、財産分割の平等性が保たれるということです。

一方で、デメリットとしては代償金を渡す方に十分な資力がないとお金を渡せないという点があります。

例えば、兄の引き継いだ80%の財産が不動産だった場合、30%の代償金は兄のポケットマネーから出すことになります。

不動産が先祖から続いている商売で必要なものであれば、売却できないため、代償分割用に別途現金を用意する必要が生じます。

換価分割とは

4つ目の換価分割とは、不動産を売却し、換金して得た現金を相続人同士で分ける方法です。

換価分割は、この記事でお伝えするメインの内容となりますので、次章から詳しくご紹介いたします。

では次に、換価分割のメリットについて解説いたします。

2.換価分割の3つのメリット

換価分割のメリットは、主に以下の3つです。

換価分割の3つのメリット

  1. 遺産を自由な割合で分けることができる
  2. 評価額よりも高い資産を分配できる
  3. 不動産の維持費が不要となる

それぞれ見ていきましょう。

メリット1.遺産を自由な割合で分けることができる

1つ目としては、遺産を自由な割合で分けることができるという点です。

換価分割は、現金を分けますので、相続人間で1円単位の資産を分かることができます。

平等性を確保することもでき、また好きな割合とすることもできるため、現物分割で生じた不平等の調整に利用することも可能です。

メリット2.評価額よりも高い資産を分配できる

2つ目としては、評価額よりも高い資産を分配できるという点です。

不動産の相続税評価額は、時価よりも低いです。

土地などは8,000万円で相続評価されていても、売却すると1億円くらいになります。

特に2019年2月時点のように、不動産の価格が上がっている時代では、不動産を現金に換えると、相続税評価額よりもずっと高い金額の資産を引き継ぐことができます。

今のような市況では、相続した不要な不動産は絶対に売却すべきです。

メリット3.不動産の維持費が不要となる

3つ目としては、不動産の維持費が不要となるという点です。

不要な不動産は持っているだけで固定資産税や除草費用等の費用がかかります。

相続人はこれらの費用を払っていくことになりますが、売却してしまえば今後維持費が発生することはありません。

売却することで、余計なコストから解放されます。

むしろ固定資産税は売却したら、精算されることがほとんど。

お金が戻ってきます。

不動産売却時の固定資産税の精算については下記記事で詳しく解説しています。


以上、ここまで換価分割のメリットについて見てきました。

では、逆に、換価分割にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。

そこで次に、換価分割のデメリットについて解説いたします。

3.換価分割の3つのデメリット

換価分割のデメリットは、主に以下の3つです。

換価分割の3つのデメリット

  1. 不要な資産でないとできない
  2. 共有売却特有の手間が発生する
  3. 税金や手数料が発生する

それぞれ見ていきましょう。

デメリット1.換価分割は不要な資産でないとできない

1つ目として、換価分割は不要な資産でないとできないということです。

引き続き住んだり、営業したりする不動産は売却できないため、換価分割に利用することはできません。

換価分割は、余っている不要な不動産で行うのが基本であり、誰しもが使えるわけではないというデメリットがあります。

デメリット2.共有売却特有の手間が発生する

2つ目としては、共有売却特有の手間が発生するという点です。

共有物の売却は、共有者全員の同意が必要であり、また売主が複数人いることから単独所有の売却よりも手間がかかります。

共有の不動産売却がスムーズに行くように、次章で進め方について解説します。

デメリット3.売却によって税金や手数料が発生する

3つ目としては、売却によって税金や手数料が発生するという点です。

特に、売却した不動産の購入額が分からないと売却額の約2割弱の税金が発生します。

仲介手数料等も合わせると最大で売却額の22~23%程度の費用がかかるイメージです。

売却に要する費用に関しては、誰がどのように負担していくかルールを決めておくとスムーズです。


以上、ここまで換価分割のデメリットについて見てきました。

では、売却前にしておくことはどのようなことでしょうか。

そこで次に、売却前に決めておくべきルールについて解説いたします。

4.分割して売却する前に決めておくべき2つのルール

遺産を分割して売却する前に決めておくべき2つのルールがあります。

遺産を分割して売却する前に決めておくべき2つのルール

  1. 売却金額の目安を決めておく
  2. 費用の建て替えルールを決めておく

それぞれ見ていきましょう。

ルール1.売却目安を決めておく

共有物件では、「いくら以上なら売る」という売却目安を決めておくことがポイントです。

相続で引き継いだ物件は共有状態にあります。

共有物件では売却に全員の同意が必要になります。

換価分割をする以上、「売却する」という総論については全員同意を得ているものと思われます。

しかしながら、「いくらで売るか」という各論については同意が得られていないケースが多いです。

総論賛成各論反対になりかねないのが共有物の売却です。

共有者全員で売却目安を決めるには、あらかじめ複数の不動産会社に査定を依頼することが効果的です。

1社だけではなく、複数社の査定価格を横並びすることで、共有者全員に納得感が得られます。

まずは、複数の査定価格の中から、「いくら以上なら売る」という合意形成を図るようにしてください。

複数の査定価格を取るには「不動産一括査定」が便利です。

不動産一括査定については下記記事で詳しく解説しています。

「いくら以上なら売る」という合意形成は、査定価格の中で「低めの価格」に注目して決めることがポイントです。

売却活動では、買主から買付証明書の価格が売出価格よりも低い場合が多いです。

あらかじめ、全員で売却最低価格を決めておかないと、買付証明書の価格に対して全員が判断に迷うことになります。

買主からの申し込みに対し、スムーズに意思決定するためには、「低めの価格」で最低売却価格を設定しておくことが揉めなくて済むポイントです。

高い査定価格は、その価格では売れない可能性がありますので、チャレンジ価格という位置付けにしておくのが無難でしょう。

低い査定価格を売却査定価格とし、高い査定価格をチャレンジ価格に設定して、売却活動に入ることをおススメします。

ルール2.費用の建て替えルールを決めておく

共有物件では、誰がどのように費用負担をするか費用の建て替えルールを決めておくこともポイントです。

不動産の売却では、入金が入る引渡の前に発生する費用がいくつかあります。

例えば、最も大きな費用である仲介手数料は、売買契約時点で50%の支払が発生します。

売買契約は、通常、引渡より1ヶ月程前に行われます。

また、境界を確定するために測量が必要な場合には、売却前に測量費が必要です。

測量費も50~100万円程度かかる場合もあります。

土地の境界明示についてはに詳しく記載しています。

売却に要する費用は、一時的に立て替えるにも、結構な金額がかかるため、ルールを決めておことが重要です。

後で揉めないためにも、あらかじめ費用負担のルールを決めておきましょう。


以上、ここまで売却前に決めておくべきルールについて見てきました。

では、スムーズに売却を進めるにはどうすれば良いのでしょうか。

そこで次に、スムーズに売却するには売買契約に全員立ち会うことについて解説いたします。

5.スムーズに売却するには売買契約に全員立ち会うこと

スムーズに売却するには売買契約に全員立ち会うことが必須です。

共有物件の売却では、共有者全員が売主となります。

共有者は売主として全員売買契約に立ち会うのが原則です。

立ち会えない人がいると、委任状による代理売却となります。

代理売却では、本人に本当に売却の意思があるのか、別途意思確認を行う必要があります。

売買契約日とは別日を設けて、事前に本人の意思確認をしなければなりません。

代理による売却は、委任状の作成や本人確認などの手間が発生するため、よほどの理由がない限り、売買契約には共有者全員が立ち会えるようにしましょう。

共有や委任状による不動産売却についてはで詳しく解説しています。

6.まとめ

以上、ここまで、遺産を不動産売却によってスムーズに分割するためのコツについて見てきました。

不動産は売却によって換価分割を行うことが最も分けやすくなります。

換価分割とは、共有物件の売却です。

売却前に共有者全員で目線を合わせ、ルールを決めてから売却をスタートさせてください。

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